【9話】未来はおっさんの手の中

無機質な真っ白い病室 STORY

 

映像は、そこで止まっていた。

白すぎる壁と、機械音だけが支配する空間。

その中心で、かろうじて呼吸を続けている母親の姿が、現実感を伴わないまま、男の視界に焼き付いている。

理解が、追いつかない。
だが、目を逸らすこともできなかった。

喉の奥がひりつく。
さっきまで感じていた安堵は、跡形もなく消え去っていた。

代わりに広がるのは、言いようのない嫌悪と、じわじわと込み上げてくる恐怖。

──未来。

その言葉が、今度は逃げ場のない重さを持って、男の中に落ちてきた。



おっさん
おっさん

いったいどういうことなのか、
説明してください!!

餅神さま
餅神さま

そういきり立つな、
これはあくまでも、分岐のうちのひとつだ。

おっさん
おっさん

ぶんきってなんですか!?、
そんなむずかしいこといわれても、わかりませんよ!
もっとわかるように言ってください!

餅神さま
餅神さま

まだこうなると確定してるわけではない、
ということだ。

おっさん
おっさん

へ?
そうなんですか?

餅神さま
餅神さま

ああ、
すべてはこれからの貴様の行動次第だがな。

おっさん
おっさん

私の行動しだい‥?

それって一体どういうことなんでしょう?

おっさん
おっさん

母ちゃんが病気になるのと、
私の行動が、どう関係するんです?

餅神さま
餅神さま

貴様がこのまま自堕落な生活を続けていくと、
その分だけ母親の、『コシ』が失われていくのだ。

おっさん
おっさん

こし‥?
‥ですか??

餅神さま
餅神さま

いいか、世界はな、

でっかいお餅なのだ。

おっさん
おっさん

お、おもち‥??

餅神さま
餅神さま

そうだ。

お餅に、コシがなくなるとどうなる?

おっさん
おっさん

えっと‥、

まぁ、それは‥‥、
‥‥多分、おいしくなくなりますよね。

餅神さま
餅神さま

そうだろう。
つまり、それと同じことだ。

おっさん
おっさん

はぁ‥、そうなんですね。
(まじめに言ってるのかな?この人‥)

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