男はその場にうずくまったまま、しばらく動けずにいた。息を吸おうとするたびに、情けない音が、喉の奥で引っかかる。
──急に殴られるなんてどう考えてもおかしい‥。
ようやく息が通るようになっても、今度は頭の中が騒がしかった。
──家賃をきちんと把握してなかったのが気に入らなかったのか?
──だとしても、あんなに思い切り殴るほどのことか??
──それとも神さまにとって、あの程度の暴力は当たり前のことなのか???
怒り、困惑、落胆、そして恐怖。
色んな感情が頭の中で渦巻いて、動きたくても動けない。いや、正直、動きたくもなかった
──なんでこんなことになってる‥?だって今日はツイてるはずじゃ‥‥?
答えが出ないまま視線だけを上げると、テーブルの上では、さっき買ってきた弁当が開かれていた。
小さな神様が、その中身を当然のように食べている。
──いずれにせよ、ろくなもんじゃない。
男はゆっくりと視線を落とし、またうずくまった。

下界の弁当を食べたのは久しぶりだ。
なかなかうまかったぞ。

‥‥‥。

このもうひとつの弁当は貴様のだろう?
それとも、これも食べていいのか?

‥‥‥。

‥‥。
もう一度、
なぐられたいか?

えひっ!?、
いひぃいいいいいっ!?
ガタッ!ガタガタガタッ!!
ダッダッダッダッ‥‥!!
(反射的に起き上がり、色々薙ぎ倒しながら避難するおっさん)

冗談だ。
そこまで逃げなくてもいいだろう。

いやだっ!!
もうやめて!、なぐらないで!!!

おおげさなやつだな。
そんなに痛かったか?

痛いなんてもんじゃない!
ホントに死ぬかと思いました!!

人間はそんな簡単には死なない。
安心していいぞ。

これが安心してられるかぁああっ!!
あんなに強く殴るなんて!!
もう神様なんて信じらんねぇええええええぇ!!

おぉ‥
叫ぶとなかなかの迫力だな。
役者でも目指したらどうだ?

なれるわけないでしょ!役者なんて!
マジでもうわけわかんない!!

まあとにかく一旦落ち着け。
ほら、弁当があるぞ。

無理ですよ‥。
あんなボディくらったのに‥‥。
‥‥明日の朝食べるので置いといてください‥。


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